民権連が「部落差別解消法」に対するリーフを発行しました

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【1面】

今をみつめ、未来へ

封建制度の「身分」 そんなものはもうくらしの中にはありません

同じ日本人としてふつうに暮らす21世紀の日本

 地域社会や職場などの人間関係で、生まれたところや住んでいるところを意識しません。同じ日本人として、同じ市民として、ふつうに暮らしています。
半世紀以上も昔の話はもうやめましょう

 「日本国民の一部の集団が経済的・社会的・文化的に低位の状態におかれ、…市民的権利と自由を完全に保障されていないという、もっとも深刻にして重大な社会問題」と書かれたのは半世紀前の話です。

 その後、日本全体では高度経済成長のもとで都市化と近代化がすすみました。同じ頃に時限立法がつくられ15兆円以上かけて地域改善のための特別対策事業が行われました。

差別される地域はありません差別される住民もいません

 この半世紀で地域の環境は激変しました。自分の力で稼ぐことのできるようになった人は特別対策に頼らないで暮らすようになりました。

 民主主義的意識の高まりで、生まれたところや住んでいるところにこだわらないつきあいや結婚があたりまえになりました。

 特別対策の終了で、さらに交流すすむ

 特別対策が終了したことで垣根がなくなり、いっそう市民の交流がすすみました。地域社会の中で、特定の地域を排除したり差別することはもうありません。江戸時代の終了から150年たった現代の日本。封建時代の意識は近代社会とともに死滅しつつあります。

 偏見をもつ人がいても

 まだ偏見を持つ人がいても、「江戸時代につながる話なんて、そんな昔のことを今更何なの」「何の関係あるの」「そんなことで人をみたらあかんやろ」と周りの人はたしなめます。

 インターネットや出版物で出自をあばき偏見をあおる輩(やから)はいます。でも、リアルな社会ではそんな人は、まともでない人として相手にされません。社会的に非難されます。

 今日の格差と貧困は大企業優先の政治がもたらしたもの

 格差と貧困が大きく広がっています。食べていけない非正規社員、死ぬまで働かされる正社員。増える負担に減る年金。若者にのしかかる奨学金ローン。
 その一方で、大企業は巨額の利益をあげ、内部留保を蓄えています。格差と貧困は、長年の政治がもたらしたものです。
 地域から、「いのちと暮らしを守れ!」の声を大きくあげましよう。

民権連
民主主義と人権を守る府民連合
                     2017年3月

〒556-0024    大阪市浪速区塩草2-2-31
     Tel 06-6568-2031 Fax 06-6568-2047

【2面】

普通に市民として暮らす人の間に、垣根をつくりますか?

国会論戦と附帯決議ではっきりしました
「部落差別解消法」は、「特別法」時代へと後もどりさせる根拠にはなりません

「差別はいけない」はすでに常識です

 理念法だといいますが、憲法が掲げるように「人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果」(97条)で、差別はいけないことは常識になっています。差別解消の根拠法がなかったという主張もありますが、それでは今日までの教育啓発などは根拠なく実施されていたというのでしょうか。

財政措置はありません 特別対策にもどりません

 法律に財政規定はまったくありません。法律提案者も特別対策事業
のようなことはいっさいないと説明しています。

この法は地域や個人を特定しません

 法律提案者は地域に線引きをするのではない、地域や対象者を特定して何らかの施策をするものではないと繰り返し述べています。
問題の解決は自由な意見交換を通じて

 身近な関係で問題が生じた時に解決するのは、糾弾でしょうか、政府のキャンペーンや行政による啓発でしょうか、罰則法で親族に罰金禁固を科することでしょうか。

 人間的な愛情と親身になった自由な意見交換以外には解決の道がないことは明らかではないでしょうか。

参考人質疑 自・民・共議員が解同の糾弾を批判

 参考人として陳述した部落解放同盟中央本部書記長に対して、自民・民進・共産党議員が次々と八鹿高校事件などの暴力糾弾を批判。解同書記長からは反省の言葉はまったくありませんでした。(2016.12.6.参議院法務委)

 (解同は2017年度も方針案に「糾弾闘争は部落解放運動の生命線」と明記)

 行政の主体性の欠如、
 運動団体の行き過ぎた言動が差別解消を阻害

○国務大臣(金田勝年君) 昭和六十一年の意見具申において、民間運動団体の行き過ぎた言動等によりまして、行政の主体性の欠如、あるいはえせ同和行為の横行が見られるとの指摘がされていたことは委員御指摘のとおりであります。 このような問題が差別意識の解消を阻害し、また新たな差別意識を生む要因となり得るという点については、現在も変わらないものと承知をしております。 (2016.11.22.参議院法務委)

↓国会審議を反映し附帯決議

参議院法務委員会における附帯決議(2016.12.8.)

 国及び地方公共団体は、本法に基づく部落差別の解消に関する施策を実施するに当たり、地域社会の実情を踏まえつつ、次の事項について格段の配慮をすべきである。

一 部落差別のない社会の実現に向けては、部落差別を解消する必要性に対する国民の理解を深めるよう努めることはもとより、過去の民間運動団体の行き過ぎた言動等、部落差別の解消を阻害していた要因を踏まえ、これに対する対策を講ずることも併せて、総合的に施策を実施すること。

二 教育及び啓発を実施するに当たっては、当該教育及び啓発により新たな差別を生むことがないように留意しつつ、それが真に部落差別の解消に資するものとなるよう、その内容、手法等に配慮すること。

三 国は、部落差別の解消に関する施策の実施に資するための部落差別の実態に係る調査を実施するに当たっては、当該調査により新たな差別を生むことがないように留意しつつ、それが真に部落差別の解消に資するものとなるよう、その内容、手法等について慎重に検討すること。